Case Studies

導入事例

精神科臨床の経験を持つ産業医として、企業の健康管理・メンタルヘルス支援に携わってきました。
さらに、労働衛生コンサルタント、経営士としての視点を加え、健康課題を個別対応で終わらせず、
組織の仕組として整える支援を行っています。

事例1:メンタルヘルス対応の仕組導入

課題:メンタルヘルス不調が発生するたびに、人事・管理職が個別に対応しており、相談、受診、休職、復職などの判断基準や対応方法が統一されていなかった。

仕組導入:不調者が発生した際の相談ルートや産業医との連携、休職開始時の説明、療養中の確認、復帰基準、復帰時の就業判定など、一連の対応を整理。

さらに、人事・管理職がそれぞれどこまで対応し、どの段階で産業医につなぐのかを明確にし、個々のケースへの対応を通じて運用を定着させている。

変化:担当者がその都度対応を考える状態から、一定の基準に沿って会社として判断・対応する運用へ移行。現在も実際の事例を通じて運用を見直しながら、会社が自ら対応できる仕組の定着を進めている。

事例2:メンタルヘルス不調による休職事例

従来型の課題:メンタル休職者の復帰場面において、本人が強く復帰を望み、主治医の「復帰可」の診断書があり、職場も復帰を望んでいる状況。前任産業医に「復帰可否判定」の面接依頼があり、十分な回復には至っていないと考えられる状態であっても「復帰可」と判定された。結果的に、6ヶ月たっても軽減業務などの配慮が解除できず、業務遂行レベルは5割程度。上司や同僚への負荷が続くことで人間関係も悪化し、本人もプレッシャーから再発。その後、復帰と再療養を繰り返す状態となっていた。

仕組み導入:休職開始時から産業医が関わり、人事から本人へ、復帰までのロードマップと進捗状況を確認する書式について説明する。特に、「復帰基準」について休職初期から十分に理解してもらう。療養中は生活リズムや回復状況を確認するとともに、再発防止に向けた課題にも取り組んでもらう。復帰時には、本人の希望や主治医の診断書だけでなく、本来求められる業務を遂行できる状態まで回復しているかを確認し、就業判定を行う。

成果:「復帰してから徐々に回復する」のではなく、戦力として働ける状態まで回復してから復帰する流れが定着。復帰後も長期間にわたって軽減業務を続けるケースや、復帰と再療養を繰り返すケースが減少した。

事例3:健康ハイリスク者への対応の仕組化

課題:健康診断で要受診・要精査となった社員に受診を勧めても、受診しないまま放置されるケースがあり、その後の確認や対応も担当者任せになっていた。特に健康リスクの高い社員について、会社としてどこまで受診を求め、どのように就業上の判断につなげるかが明確になっていなかった。

仕組導入:健康診断結果をもとに、産業医が就業上のリスクを確認し、必要な社員には受診を勧奨する。

受診が必要と判断された場合は、独自の書式を用いて本人へ明確に伝え、その後の受診状況まで確認。特にリスクが高い場合には、人事権のある管理職とも連携し、必要に応じて就業制限等も含めて対応する。

健診結果の確認 → 受診勧奨 → 受診確認 → 必要な就業上の措置 → 改善後の再評価

までを一連の流れとして運用する。

変化:単に健診結果を本人へ通知して終わるのではなく、健康リスクの高い社員を会社として把握し、必要な受診と就業上の対応につなげる仕組が定着しつつある。

事例4:健康診断で高リスク者への対応を仕組化した事例

従来型の課題:健康診断で重度の有所見が確認されても、受診勧奨に応じない社員への対応が担当者任せとなり、その後の受診確認や就業上の判断まで一貫した対応ができていなかった。

具体的な事例:大型ドライバーで血圧250/150mmHgという著しい高値が確認されたケースでは、安全に業務を継続できる状態ではないと判断し、就業制限を実施。医療機関を受診し、治療状況や検査データ等を確認したうえで、就業上の措置を再評価する流れとした。

また、肝機能検査の一部が500を超えていたものの、担当者から繰り返し受診を勧めても応じなかったケースでは、独自の書式を用いて受診の必要性を明確化。人事権のある管理職から、安全配慮の観点と、受診しない場合には就業制限等を検討する可能性があることを説明した。

その結果、医療機関の受診と治療につながり、検査値も改善。その後は通常勤務を継続している。

仕組導入:健康診断結果について、単に「要受診」と通知するだけで終わらせず、健診結果の確認 → 受診勧奨 → 受診確認 → 必要に応じた就業上の措置 → 改善後の再評価までを会社として運用できる流れに整理した。

成果:担当者個人の働きかけに依存するのではなく、健康診断で高リスク者が確認された際に、会社として判断し、必要な受診や就業上の対応につなげられる仕組が定着した。

事例5:小売業の巡視と5S

課題:大手スーパーの各店舗の巡視の際に、5Sが非常に良好な事業所とそうでない事業所があった。

アプローチ:後者において、5Sや3定(定位・定品・定量)を徹底する事で、「職場が快適になるだけでなく、転倒・転落・腰痛などの災害が有意に軽減し、生産性が上がる」という(経産省のデータに基づく)指導や研修を継続した。

成果:徐々に5Sレベルが上がり、労災防止、快適職場が実現した事例。

事例6:運送業の倉庫内業務の巡視における区分

課題:送業の庫内作業や工場内外の巡視で、通路やスペースを区分するラインテープや塗料が剥がれて見えにくくなっているケースが散見された。

アプローチ:巡視で確認し指摘することで、次の訪問時には対応済みとなるケースが多い。

成果:人とフォークリフトの出会い頭のヒヤリハットが軽減し、動線が明確になることで作業効率が向上したと評価を頂いた。

事例7:事務所の衛生管理

課題:オフィスで、床のケーブル類が整理できていなかった。

アプローチ:快適職場、転倒防止の観点から、モール(カバー)や 結束バンドなどで整理してもらった。私物の整理や掲示物の更新、腰痛対策として「情報機器作業の健康管理」の講話を実施し、椅子の高さや適宜、休憩を取ることなど、指導をくり返した。

成果:その後の意識調査より「職場が快適になった」という意見が多数あった。

事例8:製造業での手指前腕の障害への対応

課題:樹脂製袋の製造工場の検品・仕分け作業に従事する女性労働者の多くに、手指前腕の痛みやコリの訴えが多い事への対応を求められた。巡視したところ、作業場の照度・室温・作業スペース・作業台の高さ・床面等の作業環境に課題が認められた。

アプローチ:作業環境管理の改善を指導するとともに、作業管理として、午前午後10分間の休憩時間を2時間ごと10分に増やす事、更に所属していた労働衛生機関に運動指導士を依頼し、作業場での準備運動やストレッチを導入。エルゴノミクス的なアプローチも推奨した。

成果:自覚症状の訴えが激減した。

事例9:有機溶剤の作業環境管理

課題:自動車部品の製造業にて、トルエンによる洗浄部門の従業員数名のうち1人が尿中馬尿酸が3g/L=分布3とのことで対応を尋ねられた。

アプローチ:過去の結果は2や3で、他部署異動時の数年間は1。巡視したところ、臭いがきつかったので、外付け式フード(側方吸引)の局排の制御風速、ダクトやファンの点検結果の確認を指示したところ異常なし。面接にて以下確認。他の作業者は分布1だが、当該社員が、業務時間・取り扱い量・作業場所に違いなし。プライベートでのトルエン使用の趣味や安息香酸の摂取なし。着用や吸収缶の交換もマニュアル通り。頬がこけた痩せ型。以上より、本人のマスク着用状態が不良の可能性が少なくないと考え、フィットテストや再教育を勧奨。

成果:対策実施後、分布1が続いている。