カウンセリングとコーチングは対立しない

―受容と方向づけのバランスについて―

​うつが「治ること」は、
単に元の状態に戻ることだけではありません。

生き方や考え方を見直し、
「より自分を大切にできる自分」へと変わっていく過程も含まれます。

よく、
カウンセリングは「マイナスをゼロに」
コーチングは「ゼロをプラスに」
と言われます。

ただ、現場で人と関わっていると、
この分け方はあまり実感に合いません。

本来のカウンセリングもまた、
「ゼロからプラスへ」向かう力を含んでいるからです。


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支援において重要なのは、
受容と方向づけのバランスです。

支持、傾聴、受容といった関わりは、
安心して自分を見つめるための土台になります。

一方で、
ときには現実を伝えることや、
あえて厳しい言葉をかけること、
他者としての境界を明確にすることも必要になります。

いわば、
母性的な関わりと、父性的な関わりです。


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どちらか一方に偏ると、
支援は機能しなくなります。

受容だけでは停滞しやすく、
方向づけだけでは反発や断絶が生まれやすい。

人が自律していくためには、
「一緒にいるあり方」の中で、
この両方が関与していく必要があります。

これは個人支援に限った話ではありません。

組織においても、
安心して試行錯誤できる土台と、
方向を示す意思決定の両方が必要です。

対立として語られがちなものほど、
実際には補完し合う関係にあります。

カウンセリングとコーチングも、
父性と母性も、
どちらかを選ぶものではなく、
どう組み合わせるかの問題です。

支援とは、
そのバランスを見極め、設計していく営みだと考えています。