人はなぜ「欠けている所」ばかり見てしまうのか?
― ゲシュタルト心理学から考える組織づくり
職場では、
「ここができていない」
「また問題が起きた」
「もっと改善しなければならない」
そんな言葉が自然と増えていきます。
もちろん、問題を見つけることは大切です。
しかし、気づかないうちに
「問題だけを見る組織」になってしまうことがあります。
ある企業で研修を行った際、
参加者の方に一枚の図を見ていただきました。
完全な円と、一部が欠けた円。
すると多くの方が、欠けている方に自然と目を向けます。
これは性格やクセではありません。
ゲシュタルト心理学でも知られているように、
人は本能的に「欠けているもの」を補おうとする
認知の特徴を持っています。
人は進化の過程で、危険やマイナス要因を素早く察知し、
身を守る必要がありました。
そのため、欠けているものや問題に目が向きやすい
認知の特徴を持っていると考えられています。
この認知のクセは、職場にも表れます。
「社員のできていない所」
「上司の足りない所」
「会社の課題」
もちろん問題解決や改善は必要です。
しかし、そればかりを見続けると、
「できていること」
「少しずつ進歩していること」
「その会社ならではの強み」
まで見えなくなってしまいます。
実際にこの図をご覧になった担当者の方は、
「私はずっと欠けている所ばかり見ていたかもしれません」
と話してくださいました。
その一言が、とても印象に残っています。
見方のクセは、すぐには変わりません。
だからこそ、
まず必要なのは
「問題をなくすこと」
ではなく、
「自分は何を見ているのか」に気づくことです。
採用でも、
定着でも、
人材育成でも、
組織づくりでも、
本当に変化が始まるのは、
問題そのものより先に、
自分たちの”見方”が変わった時ではないでしょうか。
問題を見ることは大切です。
しかし、できていることも見る。
進んでいることも見る。
その両方を見られるようになった時、
人も組織も、少しずつ前へ進み始めます。

